東西約18km、南北が約25kmと世界でも有数の規模を誇る阿蘇のカルデラ。九州中・北部を覆い尽くす4回にわたる巨大火砕流噴火によって作られた広大なカルデラに広がる平野では、約5万人の人々が火山と共に生活しており、周辺には人々の手により、千年以上に及ぶとされる採草と野焼きによって維持されている広大な草原と、長年の農地改良によって育まれた豊かな大地が広がり、豊かな農作物が育っています。
阿蘇の広大な草原では、しばしばあか牛の放牧を目にすることができます。特徴的な地形を生かし、大自然と共生してきた阿蘇の農業を象徴する存在。それがあか牛なのです。
野焼きは、春を迎える2月後半から4月にかけて行われます。野焼きにより、低木を除去し、初夏にはススキなどを再び繁茂させる、省力的で効果的な草原の管理技術です。
また、阿蘇には農業と深い関わりをもつ伝統文化が今でも息づいており、阿蘇神社の周辺では、阿蘇山の噴火による火山灰の降灰などの農業被害を鎮めるといった儀式・祭事を多く見ることができます。
神様が稲の生育ぶりをご覧になる神事。馬に乗った阿蘇大宮司、4つの輿に12の祭神が遷され、14人の宇奈利が火の神と水の神を含めた14人分の食事を頭にのせ、行列を作りゆっくりと歩を進る古式ゆかしい振興行列が有名です。
2013年(平成25年)5月、阿蘇地域は、長年にわたる農業の営みが世界的に高く評価され、「世界農業遺産」に認定されました。翌2014年(平成26年)9月には「世界ジオパーク」への認定も果たし、火山活動がもたらした特徴的な地形と、大自然と共生してきた人々の暮らしが世界に認められる事となりました。さらに2015年(平成27年)11月17日、第38回ユネスコ総会において、これまで、ユネスコの支援事業として行われてきた世界ジオパークネットワークの活動が、ユネスコの正式事業となり、「ユネスコジオパーク」となりました。
阿蘇五岳のひとつ中岳は、直径600m・深さ130m・周囲4キロの巨大な火口をもち、ダイナミックな風景で生きている阿蘇を堪能できます。平成27年秋の火山活動活発により入山が規制されていましたが、現在では噴火警戒レベルが引き下げられ、阿蘇山ロープウェー阿蘇山西駅周辺(山上広場)の観光が可能となっています。
阿蘇エリアの新しい人気スポット「ラピュタの道」阿蘇五岳、阿蘇盆地の田園風景を望む。きっとその雄大な景観を一目見た瞬間に思わず歓喜の声がもれることでしょう。
阿蘇観光に訪れる人が必ずといって良いほど訪れる代表的な観光地、草千里ヶ浜。阿蘇五岳の一つ、烏帽子岳の北麓に広がる火口跡にある78万5000平方メートルの大草原と、雨水が溜まってできたといわれる池とが織りなす自然のコントラストが四季折々の美しい姿を見せてくれます。
毎年3月中旬に行われる神事。神様の結婚式を意味する神事であり、樫の枝葉で包まれた姫神の御神体が到着すると、氏子は一斉に茅で作った松明に火をつけて振り回す。勇壮に振り回される炎の輪が夜の神殿を彩り、一帯は幻想的な雰囲気に包まれます。
国際連合食糧農業機関(FAO、本部イタリア・ローマ)が2002年に開始した仕組みで、次世代に受け継がれるべき重要な伝統的農業(林業、水産業を含む)や生物多様性、伝統知識、農村文化、農業景観などを全体として認定し、その保全と持続的な活用を図るものです。「過去の遺産」ではなく、さまざまな環境の変化に適応しながら進化を続ける「生きている遺産」と言われています。これまでペルー、チリ、中国、フィリピン、アルジェリア、タンザニアなどのサイト(世界農業遺産に認定された場所のこと)が認定されて、それぞれ地域固有の取組が行われており、日本でも2011年に先進国として初めて佐渡と能登が、2013年には静岡、阿蘇、国東が新たに認定されました。現在、世界で25のサイトが認定されています。
美味しさ、栄養バランス、腹もちの良さ、と三拍子そろった阿蘇を代表する郷土料理。国道57号線沿いには、だご汁を提供する店が点在し、「あそんだご汁街道R57」としてそれぞれこだわりの味を競っています。
阿蘇と言えば、高菜!高菜と言えば高菜めし!ピリ辛の高菜漬けと、あつあつのご飯を混ぜた高菜めしはだご汁とも相性抜群。
南阿蘇、高森町では今から700年前から食べられていたという郷土料理。芋、豆腐、こんにゃくなどを串にさし、甘辛い味噌を塗って炭火でじっくりと焼き上げます。